旅するエルフのVRC紀行ブログ

VR世界を旅し、「やさしさ」と「愛」をもって人に接したいエルフが書いてます

VRC歴史集会で『失敗の本質』の読書会を行います

『失敗の本質』の読書会をやろう!

VRC歴史集会の紹介

私はVRC歴史集会というグループでイベントを開催していますが、普段は2種類のイベントを開催しています。

  • 歴史セミナー会(毎月第1水曜日)
    • 歴史に関する研究発表を行う勉強会
    • 発表内容は歴史に関わるものであればなんでもOK
      • 内容は高校生がわかるレベルが望ましい
    • 発表者は立候補制
    • インスタンスはFriend+で開催
  • 歴史雑談会(毎月第3水曜日)
    • 歴史に関して雑談を行う会
    • 話題は歴史に関わるものであればなんでもOK
    • インスタンスはGroup Onlyで開催

で、2月1日(水)に行われる歴史セミナー会の次回テーマは「歴史上のおきんきんな帝国・前編:金王朝編」と中国金朝時代の概説を行います。3月も歴史セミナーは予定が決まっており、こちらは「歴史上のおきんきんな帝国・後編:後金・清王朝編」と金朝と同じ民族が建国した清朝の概説を行う予定です。なお、2回とも「中華」という概念に関する問題が出てきますので、政治的にセンシティブな会になることが予想されます。

また、明日1月18日(水)の歴史雑談会はいつもの会場ではなくジョニーさんの「繁華街スパルタ」をお借りしての開催を予定しております。

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臨時イベント 『失敗の本質』の読書会

この上で、VRC歴史集会では『失敗の本質』という軍事史の研究書の読書会を3月8日(水)から毎月第2・第4水曜日の22:00から開催します。

なぜ『失敗の本質』読書会を行うか?

近年人文系不要論が出てきて悲しい元歴史学徒の私ですが、「歴史は繰り返す」とはよく言ったものだと思っています。

昨年の2月24日からロシアはウクライナに侵攻していますが、当初はキーウを制圧して2日で勝つとみんなが思っていたロシア軍がうまく戦争を終わらせることができずに今年も戦争を続けています。しかし、よくよく見てみるとどこかでかつての日本軍のような「失敗」を繰り返しているように見えてならないのです。

そのような中、日本軍による「失敗」を研究した軍事史の研究書である『失敗の本質』という本があります。この本は「日本軍は負けるべくして負けた」という前提から発展し、もうちょっとましな「負け方」があったのではないかという観点で書かれています。その中で組織の文化に注目し、日本軍の組織がいかに戦えないものであったかを論じる本になっています。

なお、この本は軍事史だけではなく組織論を研究する経営学の研究者も交えて書かれており、共著者の中には日本の製造業の開発手法を世界に紹介した野中郁次郎さんも含まれています。この野中郁次郎さんが紹介した日本の製造業の開発手法はアジャイル開発手法の「スクラム」としてIT業界に取り入れられ、大いに世界に広まっています。そのため、野中郁次郎さんを「スクラムの祖父」と呼ぶ向きもあります。このような多様なバックグラウンドの研究者によって書かれた『失敗の本質』はビジネス書としてもすごく好評で、60万部ほど売れたベストセラービジネス書でもあります。

その上で、VRChat上で多様なバックグラウンドを持つ人たちによって『失敗の本質』を議論してみようと思ったのです。

対象となる方

現時点で以下のような方を対象に幅広く考えています。

  • 歴史や歴史学に興味がある方
  • 組織論やマネジメントに興味がある方
    • 工学、特に情報工学系で生産手法やプロジェクトマネジメントに興味がある方
  • 軍事知識およびその隣接分野(戦車や船舶、航空など)に興味がある方
  • 文系学問をどう研究するのかに興味がある方
  • アカデミックな世界を見てみたい一般の方
    • 高校レベルの基礎知識があればオッケー

参加にあたって必要なこと

まず、「歴史はデータであると同時にコミュニティのストーリーでもあるが故にセンシティブな問題でもある」ということを心に留めた上で、お互いの歴史観を尊重できるような心の余裕が必要です。歴史観が違うなとわかっていても、相手の考えを尊重できることが重要です。とりわけ、今回はウクライナ戦争などの時事の話題が上がることが多いと思われるので、そのあたりご注意ください。世の中にはHRT(「Humility(謙虚)」、「Respect(尊敬)」、「Trust(信頼)」)原則というものがありますので、それを心がけていれば問題ないと思います。

それと共に、読書会なのでAmazonなりどこかなりで中公文庫版の『失敗の本質』を手に入れてください。

読む本はAudibleも含めて他の版本でもかまいませんが、当日はおそらく原著を読みながら進める形になると思います。そのため、何ページの何行目かを指し示す場合は中公文庫版基準で指定する形とします。

当然ながら、原著を日本語で読めるだけの日本語力が必要です。なお、議論は主に日本語で行われる予定ですが、非日本語話者の参加に関しては希望があれば前向きに参加を検討いたします。

それと共に、史料の調べ方や資料の引用方法を含めた歴史研究の基礎的な方法に関する動画を作っておきますので、事前に目を通して頭の片隅においていただけると助かります。ただし、実際の史料を事前に読んでおく必要はありません。必要になってから目を通せばよいと思います。

なお、資料を投影したいときは、ワールドにSlidenがありますので以下の方法でご対応ください。

そのため、VRChat上の設定で「Allow Untrusted URLs」をオンにしておいてください。

また、このイベントはQuest単機からの参加者を受け入れるため、Quest単機を使っている参加者への配慮があると助かります。会場はQuest単機に対応していると思いますが、アバターはPC専用ではなくQuestでも見えるアバターを使っていただけると助かります。Quest用フォールバックを設定しておくのでも大丈夫です。

最後に、VRC歴史集会のグループに入ってください。インスタンスGroup Onlyで開かれますので、グループに入っていないとそもそも参加できません。なお、できる限り事前に入っていただけると対応しやすくなると思います。

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これができれば、参加して十分に楽しめるかと思います。

参加にあたって必要ないこと

原著の内容および第二次世界大戦の戦史に関することはあらかじめ知っていることが望ましいですが、当日までに詳しくなっている必要はありません。ざっと原著を読んでおく程度で問題ありません。ただ、事前に調べておいてツッコミを入れられる程度の知識があると楽しめるかもしれません。当然ながら、関連資料全部に目を通す必要もありません。

あと、知識がないことを恥ずかしがる必要もありません。「わからないことがあれば質問する」ことができれば、たぶん詳しい方が答えてくれるでしょう。むしろ、「私はこの分野は素人なのですが」は大いに歓迎です。みんなでわいわい議論することで何かが得られればよいと思っています。

それと、無理に真面目にやる必要はありません。「失敗」という重苦しいテーマですが、現在進行形で起こっている「失敗」も関連すると思ったのならばどんどん話題に採りあげてかまいません。もちろん、自分の「失敗」でも大丈夫です。

おわりに

「戦争」における「失敗」という正直重いテーマですが、これで得た知識があれば「歴史」を現在に活かすことができると思います。「歴史」が役に立つということがわかれば、私は幸せです。

ということで、みなさんの参加をお待ちしております。